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Posted 1 year ago | 1 minute read

Science Based Targets イニシアティブ って何? わかりやすく解説!

2006年4月1日以降、温室効果ガスを大量に排出する企業(特定排出者)は、排出量を計算し、その結果を国に報告することが法律で義務付けられました。この情報結果は国ごとに集計され、公表されることが定められています。多くの大企業では、この法律のもと温室効果ガス排出を報告が必要となりますが、環境問題が深刻な今、法律的な報告義務のない企業においても、ネットゼロなどの炭素削減目標に取り組むことが一般的となってきています。

この取り組みの要となっているのが、「Science Based Targetsイニシアティブ (SBTi) 」です。SBTiは、WWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアティブで、企業が設定する温室効果ガス排出の削減目標に科学的根拠があり、地球温暖化対策に効果的であることを確認するための取り組みです。

2022年末までに、約2000社の企業がSBTiの認定を受けており、これにより、企業が気候変動への対策に積極的に取り組んでいることが示されています。日本企業の先駆けとして、2015年10月にはソニーが初めてSBTiの認定を取得しました。現在では、第一三共や三菱地所、キリンホールディングス、富士通、リコー、資生堂など、日本からも数多くの企業が参加しており、SBTiはパリ協定に準拠した目標設定のグローバルスタンダードとして位置づけられ、企業にとって重要な枠組みとなっています。

ここでは、SBTiについて、誰がどうやって参加できるのか、参加へのメリット、そして参加後設定した目標を達成するための手順について説明していきたいとおもいます。

Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)って何?

2015年パリ協定で定められた最新の科学、気候危機の被害を最小限に抑えるためには、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5度に抑えることが重要であることがわかっています。2023年に開催されたCOP28では、気候変動に関する世界的な取り組みと進捗を総合的に評価するプロセスである「Global Stocktake」が初めて評価されましたが、この中にも、「温暖化を2度未満(理想的には1.5度以下)に抑えるために、可能な限り排出量を削減する」という目標があります。この、1.5度目標の達成には、世界全体でCO2を2030年に半減、2050年に実質ゼロにすることが必要です。

各国の指導者や政府が気候変動への取り組みを進める中、この目標を達成するには、温室効果ガスの主要な排出者である企業が確実に排出削減を進めていくことが極めて重要となってきます。気候変動は今や企業の経営会議の議題としても取り上げられ、デジタル化が急激に進む現代、この転換を促進する大きな柱となっています。もし企業が本当の意味で気候対策を考えているのであれば、世界的に認識された取り組みのもとで目標を設定することは、とても重要であり、持続可能な未来を作る大きな最初の一歩となります。

企業が参加できる気候イニシアティブはたくさんあります。これらの取り組みは、RE100(再生可能エネルギー目標)やEV100(電気自動車目標)のように特定の領域に焦点を当てるものもあれば、企業の全排出ポートフォリオを対象とするものもあります。

SBTiは、WWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトにより2015年に共同でスタートしたプロジェクトです。このイニシアティブの主旨は、気候変動への対策とともに、企業がネットゼロ経済において競争力を高めるための手助けをすることです。SBTiは、企業が具体的にどれだけの量の温室効果ガスをいつまでに削減すべきかを、科学的な知見に基づいて設定できるようなガイダンスを提供しています。

このガイダンスに基づいて、SBTiは企業が科学的な知見に則した目標である「Science Based Targets(サイエンス ベース ターゲット: SBT)」を設定するプロセスをサポートし、適合すると認められた企業にはSBT認定を授与しています。SBTiは、企業にとってSBTの設定が当然の一部となり、経済と環境が調和する社会の構築を目指しています。

Science Based Target (SBT)って何?

Science Based Targets(サイエンス ベース ターゲット: SBT)は、パリ協定が提唱する気温上昇の水準に合致するよう、企業がゴールを5~15年先に設定し、その期間において温室効果ガスの排出を削減する具体的な目標のことです。

パリ協定では世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回り、できれば1.5℃に抑えることを目指しています。これを実現するには、世界の排出量を2050年までに「ネットゼロ」にする必要があります。企業が1.5°CのSBTを設定することは、2050年までに企業の排出量を「ネットゼロ」にする計画を立てることを指します。この科学に基づく目標は、2020年から2050年までの各年にわたる段階的な排出削減の道筋を具体的に提示することを示しています。

SBTを申請するには、SBTiによって理定められた6つのステップがあります。

画像: 環境省ホームページより

これらのデータは外部の検証機関によって確認されなければならず、SBTは企業のスコープ1と2の総排出量を対象とする必要があります。スコープ3が総排出量の40%以上を占める場合は、その削減目標も設定する必要があります。なお、オフセットと回避された排出は、削減目標には含まれません。

最低でも5年ごとに目標を見直し、最新の気候科学に適合しているかどうかを確認する必要があります。また、目標が達成された場合、企業の構造や活動に重大な変更がある場合は、これをより頻繁に見直しする必要があります。

SBTにおける電力の役目

ステップ2でも説明した通り、SBTは最低でもスコープ1およびスコープ2を対象とし、企業によってはスコープ3も視野に入れなければならない場合があります。 スコープ2の排出、すなわち他社から購入した電気および熱からの排出は、世界的に見ても温室効果ガスの主要な発生源の一つです。これらの排出は物理的には電気や熱が生成される場所で発生しますが、これらのエネルギーを購入し使用する企業もその負担を負います。 企業はこれらのスコープ2の排出を精確かつ一貫して計上し、削減する責務があります。

GHGプロトコルのスコープ2ガイダンス(そしてそれに基づくSBTi)によると、企業はスコープ2の排出量を以下の2つの方法で報告しなければなりません:

  1. ロケーション基準手法:調達している電気に関わらず、地域全体の平均排出係数(1メガワット時あたりの排出量)に基づいて排出を算定する方法
  2. マーケット基準手法:調達している電力の種別ごとに排出係数を算定する方法

この2種類の方法論は多くの議論を呼んでおり、それぞれ独自の課題が存在します。マーケット基準手法の計測には手段が幅広く存在し、PPAや再生可能エネルギー証書など、使用ケースや技術的な詳細によって削減効果にばらつきが出てしまいます。

一方で、ロケーション基準手法では、グリッドレベルでの排出削減を計上できるため、企業が電力を調達する方法や投資とは直接関連していないところまで含まれてしまう可能性があるという懸念点があります。

企業は、複数の対策を組み合わせることで、ロケーション基準手法とマーケット基準手法の両方の排出量を同時に減少させることができます。体的な例としては、エネルギー効率の向上や、設備内で再生可能エネルギーを使った発電が挙げられます。これらの対策は、他社から購入した電力の総消費量を削減することで可能になり、スコープ2の排出量を削減するための効果的な実践として幅広く認知されています。新しい再生可能エネルギーの導入は実際には排出削減に寄与する可能性が高い一方で、実際の変化よりも排出計算で削減率の高い対策のみを採用し、実質的な変化をもたらしていない一部の企業に対する懸念が増えています。

目標を達成するための手順

SBTiのデータベースに基づくと、企業が目標達成に向けて取っている行動は、一般的に以下の5つのカテゴリーに分類されます。

  1. 再生可能エネルギー:ほとんどの企業が報告の中に取り入れており、最も一般的に取り入れられている対策の一つです。再生可能エネルギー源の利用やグリーンエネルギーの購入が含まれます。
  2. 電力の最適化:多くの企業が挙げている対策で、通常はエネルギー効率の向上やプロセスの最適化を含みます。
  3. グリーンエネルギーの購入:再生可能エネルギーと似ていますが、グリーンエネルギーは通常、環境に配慮され、影響が少ないエネルギーを指します。これは自然のプロセスによって再び生成されるエネルギー源である、再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、地熱など)だけでなく、エネルギーの使用や発生において環境への悪影響を最小限に抑える取り組みである、Guarantees of Origin(GoOs)などのエネルギー証明書の購入が含まれることがよくあります。
  4. EV/ EV最適化:多くの企業が電気自動車への移行や使用の最適化を挙げており、これにより企業所有のフリートからのスコープ1での排出量を削減しています。
  5. カーボントラッキング:多くの企業が積極的にカーボンフットプリントを記録しており、正確な目標の設定、進捗の報告、および効果的な炭素管理戦略の実施に欠かせないアクションの一つです。

GridBeyondは、SBTi(Science-Based Targets initiative)の規定に沿った総合的な解決策を提供することが可能です。現在の温室効果ガス排出量の記録から削減策の開拓、ローラーパネルや直電池などのエネルギーテクノロジーの導入に至るまで、企業が気候変動に対処するための戦略を構築し、モニタリング、発展させるまでのプロセス全体をサポートすることができます。

気候変動に対応し、科学に基づいた目標を達成するためのサービスは、持続可能性と環境への貢献を強化します。エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの積極的な採用などの取り組みを通じて、企業は温室効果ガス排出の低減を達成し、地球温暖化への対応に前向きに貢献します。GridBeyondは、環境への影響を最小限に抑え、未来の持続可能なビジネスを築く企業の手助けをしています。

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