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Posted 1 year ago | 1 minute read
2024年からいよいよ取引開始!容量市場とは?
我々の生活に必要不可欠である電力は、一般家庭や企業などの電力消費社が使用している電力と同じ量の電力を供給し、需給バランスを常に維持する必要があります。このバランスが崩れてしまうと周波数に乱れが生じ、発電所の発電機や工場の機器に悪い影響を与えてしまい、最悪の場合は大規模停電につながってしまいます。
容量市場はこのバランスを維持するための仕組みの一つで、実際に発電された電力量(kWh)の取引ではなく、将来の供給力(kW)を確保するための市場です。容量市場は電力をつくる発電事業者だけでなく、需要家側(電力の供給を受ける側)である通常の企業や自治体もデマンドレスポンス(DR)と呼ばれる使用電力量の調整メカニズムを通じて、容量市場に参画することが可能です。

容量市場って何?
容量市場は将来の電力需要のピーク時において十分な供給が確保されるようにする仕組みで、需要の急激な増加に対応するための措置です。海外では、イギリス、ドイツ、アメリカなどで導入されており、これらの海外の事例を参考に、日本でも電力広域的運営推進機関(通称: 広域機関、またはOCCTO(オクト))によって2020年より導入されました。市場で取引される電力の価格は、この広域機関が4年後の電力需要を試算し、それに必要な供給力を算定した上で、オークションによって決まります。そのため、2020年より導入された市場の実際の取引は、今年2024年より開始されます。発電事業者は、4年後の電力供給能力を提供することで対価を得ることができ、これにより設備投資や発電設備の維持がしやすくなります。また、小売電気事業者も、将来の電気需要に備えて安定した供給力を調達でき、事業運営が安定することが期待されます。
未来の電力を取引する容量市場
容量市場では、電力の実際の需要が生じる4年前に、企業が所有する発電設備や、「デマンドレスポンス(DR)」などを一括して入札できるメインオークションが実施されます。さらに、メインオークションの3年後(供給の1年前)には、追加オークションが開催されます。追加オークションは、メインオークション後に予測される需要の変動や供給力の変化を考慮し、供給計画の需要バランスを評価して開催判断がなされ、広域機関の公式ホームページで公表されます。追加オークションに参加できる電力は、メインオークションで入札して落選した非落札の電力や、メインオークション開催時に供給力が確定していなかった未応札の電力に限られます。
2024年からは、2020年に行われた実際の供給力の取引が本格的に開始されるほか、2028年の供給を確保するためのメインオークションが行われ、また、2025年に向けた追加オークションも予定されています。

電力供給能力の入札に成功した後、発電事業者などは、オークションで取得した電力に関する供給契約書を締結します。この契約書には、実際の電力供給方法や条件(リクワイアメント)が具体的に規定されています。これらの条件を達成する度合いに応じて、広域機関は実際の電力供給が始まる実需給年度から毎月、契約金を支払います。
ただし、約束された供給が達成できない場合は、経済的なペナルティが発生します。具体的には、支払う契約金額が減額される可能性があり、ペナルティとして契約金の10%が上限となる請求が行われることに留意が必要です。契約条件の正確な遵守が要求されるため、供給計画と契約条件の厳密な遂行が必要です。
容量市場に参加するには?
節電の要請に応じられる設備を持つ企業や、節電に余力のある企業などは、容量市場への参加が可能ですが、専門的な知識や複雑な規制の理解が必要なため、多くの場合は「アグリゲーター」として知られる事業者を利用することが一般的です。「アグリゲーター」は正確には「特定卸供給事業者」と呼ばれ、電力を使用する多くの需要家が所有するエネルギーリソースをまとめ上げ、需要家と電力会社の間に立って、電力の需給バランスのコントロールや各需要家のエネルギーリソースを最大限に活用する専門事業者です。このアグリゲーターを通し、容量市場に参加し、電力供給能力を入札することができます。
GridBeyondでできること
GridBeyondはアグリゲーターライセンスを取得(経済産業省 資源エネルギー庁「特定卸供給事業者一覧」53番参照)しているだけでなく、グローバルな経験と革新的なアプローチにより、電力分野で世界的信頼と評価を築き上げきています。
また、GridBeyondは容量市場だけでなく、電力の包括的なマネージメントも可能です。これにより、お客様の電力の使用方法を根本的に見直し、新しい収益源の開拓や脱炭素経営のための戦略など、ニーズに合わせたエネルギーの効果的な活用方法を提案することが可能です。

エネルギー最適化とリスク管理に効果的な4つの対策
管理するには、従来の受動的な電力の供給から、エネルギー循環を重視した積極的な調達方法でエネルギーを最適化し、包括的なアプローチを行うことが大切です。
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